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2011年4月21日木曜日

プルトニウムのプルト君、嘘はついていない(?)いや、ついているようだ。

つい最近プルトニウムのプルト君というのが話題になっていると知りました。
それでプルト君を見てみました。
最初に見たときは半分くらいは嘘ついているように思いましたが、よく聞いていると嘘はついていないような気がしました。ここまで嘘をつかずに嘘をつくのも珍しいと思いました。
小学生でも突っ込みを入れられそうな内容なので面白いのですが、痛々しいです。

黒文字がプルト君のセリフ。
青文字はプルト君のセリフに対する自分のコメント。

「こんにちは、みなさん。」

こんにちは。

「僕、プルトニウムのプルト君です。どうかよろしく。」

どうぞよろしく。

「なぜこんなことをしたかって言いますとねえ、」

いきなり最初から痛々しいセリフですね。
なぜ、こんな痛々しい動画を作成したかと言いますとねって言ってるみたいだよ。

「プルトニウムはみなさんにまるでお化けみたいに考えられている、
そうなんじゃないかなぁって思うからなんです。」

そうだろうね。

「みなさんは僕について、なにかよくわからない、
恐ろしいってイメージを持っていらっしゃいませんか?」

僕はいちおう危険物だと思っていますよ。

「僕がまず最初、戦争の道具、原子爆弾に使われてしまったのは
本当に残念なことでした。」

そう。

「でも僕だって戦争は大嫌いです。
平和に働くことが大好きなんです。」

プルトニウムでも好き嫌いがあるんだね。(ということにしといてあげようよ)

「ノーベルが発明したダイナマイトだって、
危険だけど人類の役にたっているでしょ。」

ここでダイナマイトを引用するのは、ノーベルは戦争で使うために
ダイナマイトを作ったわけではないのに、戦争に利用されてしまった
事をとても悲しんだという逸話にちなんでいるんだね。

「僕もそうなりたいし、なれるんです。」

なれるんですは余計だと思うけど、まあ可能性は否定しないよ。

「みなさん、今日はプルトニウムの本当の話を聞いてください。」

はーい。

「プルトニウムはウランのように鉱山から掘り出すことはできません。
原子炉の中でウランが燃えるとき生まれてくるんです。」

そうだね、地球の年齢に比べるとプルトニウムの寿命は短いからね。

「僕を最初に発見してくださったのは、
アメリカの原子力委員長を務めたこともあるシーボーグ博士で、
1940年のことでした。」

そうなんだ、原爆のわずか5年前なんだね。
委員長を務めたことがあると言われても、
ここでなにかの権威付けがしたいのかい?
あこがれの先生みたいなものなのだろうか?

「プルトニウムと言う名前は太陽系の一番外側の惑星、
冥王星プルートにちなんでいます。
ついでに言えばウランはそのふたつ内側の惑星、
天王星ウラヌスからきています。」

へー、天王星ってウラヌスっていうんだね。気がつかなかったよ。

「みなさんとのお付き合いがまだ浅いせいか、
僕にはどうも悪い噂があって良く知られていないことが多いようです。」

普通プルトニウムで明るい話題にはならないと思うよ。

「ええ、どんなことかって。それをこれからご紹介しましょう。」

どーぞ。


「まず第一の誤解は、10キログラムくらいのプルトニウムがあれば
原子爆弾は簡単に作れるという噂です。そこで悪者がいて、
原子爆弾を作ったりしたら大変だと思われるようになったのです。」

うーん。

「いったい本当にそんなことができるのでしょうか。」

無理なんじゃない。

「原子爆弾には純度93パーセント以上のプルトニウムが使われていると言われています。」

そのくらいらしいね。

「一般の原子炉に使われているプルトニウムでは純度はせいぜい70パーセント程度ですから、
これで原子爆弾を作るのは非常に困難です。」

ここでわざわざ一般の原子炉と言っているところに悪意を感じるのですが・・・。
後の方で紹介される高速増殖炉では立派に原子爆弾レベルの高純度のプルトニウムが
生成できるそうですよ。

「仮にこれを原料に爆弾を作るとしても、
それには相当に高い技術と大がかりな設備などが必要であると言われています。」

そうだね。だけど悪者っていうのが国家レベルの集団になったら不安を感じるね。

「そしてなによりもプルトニウムは、
貯蔵中も輸送中もとても厳重に管理され防護されていますから、
これを盗んだり奪ったりするのはとうてい不可能な事です。」

あんまり不可能とかって断言しない方がいいと思うよ。

「原子炉で使われるプルトニウムで爆弾を作るというのは、
結局、現実的ではないのです。」

そうだね。一般の原子炉ならそうだね。

「僕についての第二の誤解は、
僕は猛毒で、しかもガンの原因になるというのです。」

違うの?

「プルトニウムは例えば青酸カリのように飲んだらすぐ死ぬというような劇薬ではありません。」

そりゃそうだろう。

「僕が毒だといわれるのは主として僕が出すアルファ線のためです。」

重金属としての毒性もあるはずだけど、そうね主として放射線だね。

「このアルファ線は紙一枚でも遮ることができる放射線ですが、
僕は長い期間このアルファ線を出します。」

紙一枚で遮ることができるけど、放射線が衝突したときの生物への影響は
ガンマ線やベータ線に比べてずっと大きいというのは説明しなくていいのかい?

「プルトニウムは皮膚に触れた場合でもそこから吸収されることはありません。」

へー、そうなんだ。

「飲み込まれて胃や腸に入った場合も
ほとんどが排泄されて体の外にでてしまいます。」

本当は全くと言っていいほど吸収されないのに、
正確な表現のためにわざわざ「ほとんど」と余計な
ことを言っているように思いました。

それはそうと、胃や腸の中で数時間から数十時間、
飲んだプルトニウムが滞在している間にも放射線を出す
という危険性は無視しているように思うのですが、
それはプルトニウムは頻繁に壊変しないから数日程度なら
体内に存在していても問題ないということなのかな?

「しかし傷口などから血液の中に入った場合は簡単に体の外には出せません。
この場合、プルトニウムはまずリンパ節に集まりその後骨や肝臓などに移り
アルファ線を出し続けます。」

あのー、傷口みたいに小さな穴からプルトニウムが体内に入る状況って、
プルトニウムの粉末が大量に空気中をただよっているような場合ですよね。

「また吸い込まれた場合、一部は吐く息と一緒に吐き出されますが、
場合によっては肺に入り込んだものが骨、肝臓などに移り、
長い間にわたってアルファ線を出し続けます。」

怖いですね。

「プルトニウムは血液の中に入れないこと、それから吸い込まないことが最も大切です。」

普通、血液には入らないと思うけど、
それとプルトニウムを吸い込む恐れのある状況って、避難しないと。

「人間の体の中に入った場合の影響については
これまでにプルトニウムが原因でガンになったと断定された例がないため
動物実験のデータを元に推定されています。」

そうですか、長崎の原爆とかではプルトニウムに限らず複数種類の放射性同位体が
影響しているからプルトニウムだけに原因を断定することは難しいのだろうね。

「その動物実験の結果からはプルトニウムが血液や肺の中に入った場合、
その量や化学的形態によっては、
何年も何十年も経ってからの発ガンの可能性が指摘されています。」

やっぱり発ガンの可能性があるんじゃないですか。

「しかしラジウムなどの取扱で被爆した例でガンが発生した報告はありますが、
プルトニウムが原因でガンになったと断定された例は全くありません。」

それはラジウムは放射線の危険が認識される前に発見されたから、
危険と知らずに多くの人が病気になってしまったのに対して、
プルトニウムは初めから注意深く取り扱っていたという側面が大きいと思う。
だから単純な比較はできないと思う。

これは発ガンの可能性はあるけど実際にプルトニウムが原因でガンに
なったと断定できる人が現在までに見つからなかったので、
プルトニウムの発ガンの危険性はそれほど高くないと考える事ができる、
という理屈なのでしょうか。

そうかんがえると、プルト君って、とてもグレーだけど、
解釈によっては、確かに嘘はついてないみたいだね。

「僕の取扱については厳しい基準が作られていて、
それに基くきちんとした管理が行われているんです。
ですから僕が人体に影響を与えることは考えられません。」

プルト君が勝手に考えられないと主張しているだけだから、
確かに嘘はついていないんだよね。

「今、悪者たちが僕を貯水池に投げ込んだとしてみましょう。」

極端だな。

「僕は水に溶けにくいばかりか重いためほとんど水底に沈んでしまいます。
万一水と一緒に飲み込まれてしまっても、
胃や腸からはほとんど吸収されず体の外に出てしまいます。」

まぁ、そうだと言っているんだからそうなんだろうね。

でも肝心の量についての情報が全然無いんですが・・・。
吸収されなくても体の外に出るまでの間は放射線を受けるのだから、
どのくらい少量なら問題ないのかも教えて欲しい。

ところで、それなら実際に飲んでみろってネット上での
コメントを見かけました。
思うに、この動画を作ってくれた人達ならプルトニウム
の使用許可さえもらえれば本当に飲んで見せてくれるの
ではないかな。もちろん体に害が無い程度の量に限るけど。
もちろん使用許可なんて出ないけど。

「でも僕の危険性だけが強調され脅しの手段に使われることがあります。」

そうだね。・・・そうなの?

「なぜ僕を脅しの手段に使うのでしょうか。
それは一般に僕についての正しい知識が不足していて原子爆弾やら放射能やら
恐ろしげなイメージだけが先に立ってしまうからなんです。」

脅しの手段って、もしかして正しい知識が不足しているのに、
危険なイメージが先行して感情的になって手紙の中にカミソリとかを
入れて送ってくるような過激な原発反対の人々に脅された事があるとか
そうゆう告白なのだろうかと想像してしまった。

「それが作り物のお化けのようなものだとわかれば
誰も僕を脅しの道具に使ったりはしなくなるでしょう。」

どうも具体的にどのような脅しに使われたのかが想像できないんだけど。

「いったい僕は人間のすばらしい知恵でコントロールできないほど
危険なものなのでしょうか。」

危険じゃないの?
コントロールできるに決まっていると主張しているように読み取れるけど、
主張しているだけなら嘘ではないのかも。でも傲慢だと思うよ。
いちおう疑問形になっていて断定してないし。グレーだな。

「プルトニウムは今開発が進められている新しい型の原子炉で使うのが
一番効率が良いのです。」

そうだね。というかプルトニウムを燃料として使うために開発しているのだね。

「この新型原子炉では天然のウラン資源を今までの何十倍にも活かして使えるんです。」

確かにそうなんだろうけど、
それだけ余裕が減るから制御が難しくなるんでないかな。

「このことは人間のエネルギーの未来を明るい希望に満ちたものにしてくれます。」

そうかな、不安も感じるけどなぁ。核融合とかの方が明るい気がするんだが。

「僕はそんな形でみなさんのお役に立つのです。」

お役に立ちたいではなくてお役に立つって決まっているのね。

「動燃では高速増殖炉や新型転換炉、そしてプルトニウム燃料の研究と開発に
既に25年以上もの安全な取扱の歴史を誇っています。」

なんだか、説得力が足りないような気もするけど、
この動画を作った時点では、嘘はついてないのかも。

「みなさん、僕はお化けではありません。僕の本当の姿をよく見てください。」

ごめんよ、博物館とかに行ってもウランやプルトニウムといった
放射性元素は展示してくれないから見ることができないんだ。

「例えば木星探査衛星ボイジャーにだって僕は使われています。」

そうね。

「皆さんが平和な温かい心でつきあってくだされば、
僕は決して恐ろしいものでも危険なものでもありません。」

平和な温かい心があればプルトニウムが危険でないというのは、
少々いやだいぶ無理があるような。

なんだか動燃の人の心の叫びというか悲痛な訴えというか、
動燃で働いているだけで人間扱いされないような生活を
送っていたんじゃないかって心配になってしまいました。

「これからずっと長い間に渡って尽きることのないエネルギーをお送りする、
頼りになる仲間なのです。」

そういわれても、まぁ結果として20年くらいは働いてくれたみたいだし、
確かに嘘は言ってないのかな。

以上。
やっぱり危険なものを危険でないと言っているのだから嘘をついていることになるね。
プルトニウムの混ざった水を飲んでも大丈夫とかそういうのはあまり関係ない。
十分に量が少なければ危険性は無視できるの当たり前なんだから。

なんか面白い資料みつけた。

プルトニウムという放射能とその被曝の特徴

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