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2011年4月20日水曜日

円運動しているときの加速度の計算方法が分からなくて悩む。遠心力と言うのは正しくないらしい。

えーと、原子炉は核爆弾を作るのに必要で、核爆弾は地球へ飛来する隕石をやっつけるのに必要で・・・、などとブログに書いた後で隕石が地球にぶつかる頻度を調べたら隕石を持ち出して原子炉の必要性を訴えるのは無理があることに気がついた。それはそうと実際に隕石が地球にぶつかったら、どれくらいのエネルギーになるのかしら、いろんなケースがあるはずだけど、気になるんで調べてみたけど良い資料が見つからない。それでは勉強になるでしょうから自力で計算してみましょう。

まず、どのくらいの相対速度になり得るのか計算しようと思う。とりあえず地球が太陽の周りを公転する速さや位置エネルギーを調べてみようと思った。

それで、公転の速さは半径と周期が分かれば計算できる。本当は楕円運動だけど大雑把にわかればいいから円として考えてしまう。

地球から太陽までの距離(R):1.5×1011[m]
公転周期(T):365×24×3600[s]
だから
地球が太陽を周る速さ:2πR/T=2×3.14×1.5×1011/365×24×3600=2.987×104[m/s]
となる。

だから衝突するとしたら少なくとも地球の方は秒速30km程度の速度を持っていると分かるので、相手も同じくらいの速度であれば、0~60km/s 程度の相対速度になり得ると予想できる。

それで、地球の公転軌道よりももっと遠いところから落っこちてくるような場合は、太陽を基準にした位置エネルギーを調べれば、どれくらいのスピードになり得るか、もしかしたら勘違いかもしれないけど、計算できるような気がした。

そこで、今度は太陽の重力を計算したいと思った。それで、太陽の質量は記憶していないので、調べないといけないんだけど、せっかく半径と速度が分かっているのだからここから質量も求める事ができるはずだと考えた。

つまり、地球が太陽の周りをほぼ円運動しているのは、地球の円運動で発生するいわゆる遠心力の大きさと、太陽からの重力の大きさが釣り合っている状態だからで、遠心力の大きさが分かれば重力も分かるし、太陽の質量もわかるという理屈。

ところで、遠心力という力は存在しないので向心力というのが正しいらしい。だから遠心力と言わずに向心力とか別の言い方にしよう。

それで、半径と周期が分かっているのだから円の中心に向かう加速度の大きさは、どうやって計算するんだろう?

高校生くらいのときのテキストに公式が載っていたと思うんだけど、覚えていない。困った。Google先生に聞いてみればすぐに教えてもらえると思うのだけど、それだとなんかカンニングしているみたいで嫌だから自分で考えてみよう。

まず、本来ならば等速直線運動するはずの質点が、円運動を行うということは、速度に対して垂直の力が加わっているためと授業で教わったのを思い出す。それから糸につけた物体をぐるぐる回して円運動をさせてから糸を放したり糸が切れたりしたばあいの物体の運動は、それまで描いていた円の接線方向に直進するという説明を思い出す。

それからその本来なら等速直線運動するはずの物体が円軌道を描くために円周にあわせて向きを変えるのは、ちょうど重力に引かれて落下するのと同じだけ移動しているそうなので、どうゆうことかを考えると、円周にそって移動した場合と等速直線運動した場合との速度ベクトルの差を調べればよいに違いない。

速度は角速度×半径なので、rω となる。ωは 2π/T。円周上の接線を考えて、その接点(これをPとしよう)をスタート位置として、時刻 t 秒後の位置は、直進する方は円の接線上を rωt の距離を進んだ位置に(これをAとしよう)、円運動の方は円周上の距離 rωt の位置に(これをBとしよう)来る。A点とB点の距離が重力によって進行方向が曲げられた結果の一種の落下距離と考える事ができるはず。
円の中心をOとしたらPOAとPOBの二つの三角形ができる。ここで t が十分小さければこの落下距離とみなせるAB間の距離は r{1-cos(ωt)} で近似できるはず。

それで、これに実際の数値を入れて 1 秒後の計算をしてみる。
(%i8) (1.5*10^11)*(1-cos(1*(2*3.14)/(365*24*3600)));
(%o8) 0.0029809488211185

等速直線運動した場合と等速円運動した場合の距離の差は 0.00298 [m] つまり 2.98×10-3 で 2.98 [mm] ということらしい。

これで移動距離と言うか一種の落下距離が分かったことになるので、これを元に加速度を出してみる。

時間(t)に比例する等加速度運動する場合の速度(v)とt秒間での移動距離(d)の関係は d=1/2 vt (vは時刻tでの速度)となる。

すると、等加速度運動で距離 d を移動した場合の t 秒後の速度は
v=2d/t
t=1なら
v=2×2.98×10-3/1
= 5.96×10-3[m/s]
つまり加速度は
g= 5.96×10-3 [m/s2]
となる。

ではこの加速度を重力加速度とみなした場合、半径 R での中心の質量はいくらか計算しよう。

G=6.67×10-11で、

g=GM/R2

なのだから、Mを計算するには

M= (g・R2) / G

(%i13) R:1.5*10^11;
(%o13) 1.5E+11
(%i14) T:3.65*10^2*24*3600;
(%o14) 3.1536E+7
(%i15) d:(1.5*10^11)*(1-cos(1*(2*3.14)/(365*24*3600)));
(%o15) 0.0029809488211185
(%i16) G:6.77*10^-11;
(%o16) 6.7699999999999996E-11
(%i18) 2*d*R^2/G;
(%o18) 1.9814283153668323E+30

となって、太陽の質量は 1.98×1030 [kg] と計算できた。正解を理科年表で調べると、1.9891×1030 [kg] でした。だいぶ近い値が出たので満足です。

さて、あくまでもこれは近似でした。本来ならばもっとスマートな遠心力の公式のようなものがあったはずです。それはどういったものでしょう。

とりあえず、半径が大きくなれば遠心力というか向心力は大きくなるね。

回転速度が速くなればそれだけ向心力も大きくなるね。

ということで、回転速度は角速度 ω で表すのが便利。距離は r で、そうして時刻 t 秒後の加速度を計算して、この t をどんどん小さくしていけば、微分とか積分とかすれば答えが得られるような気がする。

しかし、tを限りなく小さくしていけば1-cos(ωt)は0になるだけで計算ができない。困った。とても困った。自分はなんて頭が悪いんだ。などと口惜しがって、しかたがないので近似の計算で ω や r を一定にした場合の変化具合を調べてみた。

ωを一定にしたときにrを変化させた場合の加速度。

r(1-cos(ωt)) なのだから、単純に比例すると分かる。

r=1, t=10-4として、ωを変化させた場合の加速度 g を求めると。

ω g
1 0.9999・・・
2 3.9999・・・
3 8.9999・・・
4 15.999・・・
5 24.999・・・
×10-8

g は ω2 に比例しているように見える。

だから

「円運動における向心力(遠心力)の大きさは半径に比例して角速度の2乗に比例する」

ということらしい。

これを式で表すと g=rω2. となる。

周期Tを使うなら  g=r(2π/T)2.

さて、これが本当かどうかを実際の数値を入れて確かめてみよう。

月までの距離:38万km(3.8×108)
月の公転周期:約28日(28×24×3600)
g=r(2π/T)2.

(%i33) 3.8*10^8*(2*3.14159/(28*24*3600))^2;
(%o33) 0.00256329772471
g=2.56×10-3 [m/s2]

では実際の重力加速度の大きさは、地球の質量はいくつだっけ。

地球の大きさは円周が4万kmなので、半径は4×107/2π
r = 6.37×106 [m]
ここから体積は V=4πr3/3 なので

(%i43) (4*3.14159*(6.37*10^6)^3)/3;
(%o43) 1.0826960179150266E+21

地球の平均密度はたしか5ちょっとだったと思うんだけど、5.5くらいで計算しておこう。

(%i45) 5.5*10^3*(4*3.14159*(6.37*10^6)^3)/3;
(%o45) 5.9548280985326468E+24

5.5の後に 103 して立方メートルをリットルにしてキログラムにします。ちなみに理科年表で調べたら地球の質量は5.974×1024[kg]でした。

これで、GM/R2 に代入して、地球表面での重力加速度を出してみる。

(%i46) (6.67*10^-11*(5.5*10^3*(4*3.14159*(6.37*10^6)^3)/3))/(6.37*10^6)^2;
(%o46) 9.788501195806667

実際の地球表面での重力加速度は 9.8 [m/s2] で場所によって微妙に変わります。

とりあえず十分正確そうなので、さっきの月軌道での重力加速度と一致するかを計算してみよう。

(%i47) (6.67*10^-11*(5.5*10^3*(4*3.14159*(6.37*10^6)^3)/3))/(3.8*10^8)^2;
(%o47) 0.0027506027297239
地球の質量から予想される月軌道での重力加速度。
g=2.75×10-3 [m/s2]

さっきの月の地球に対する公転半径と公転周期から導き出した加速度。
g=2.56×10-3 [m/s2]

まぁまぁな精度と言えるだろうか、ちょっと微妙になってきた。月の周期が正確に28日というわけでないので誤差が出るのは当然なのだけど、理科年表によれば自転周期が27.3日とあった。月の自転周期と公転周期は同じなので再計算。

(%i48) 3.8*10^8*(2*3.14159/(27.3*24*3600))^2;
(%o48) 0.0026964341614306
2.69×10-3 [m/s2] と出た。近くなったけど、まだ微妙。

地球表面の場合はどうだろう。地球表面で重力に釣り合う円運動をするための速度を計算してみよう。

ω=(g/r)1/2 より
ω=(9.8/(6.37*10^6))^(1/2)

(%i53) (9.8/(6.37*10^6))^(1/2);
(%o53) 0.0012403473458921
これは角速度なので半径をかければ速度が出る。
(%i57) ((9.8/(6.37*10^6))^(1/2))*6.37*10^6;
(%o57) 7901.01259333258
7.9 [km/s] となった。これはもしかして第一宇宙速度?なんかそうっぽいね。

で、円運動している物体の加速度 g は g=rω2 で導けたっぽいんだが、本当に正しいのかどうかを証明する方法が分からない。きちんと証明できないと自信を持って使うことができない。どうやって証明したら良いんだろうか。悩む。

皆こうゆうのは高校生の時とか大学生の時に済ませちゃっているからわざわざブログに載せるために計算なんてしないんだよね。怠け者の正月働きだ。


追記(2011.06.10)。

高校生向けの公式集に載ってた。


ということらしい。

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