えーと、原子炉は核爆弾を作るのに必要で、核爆弾は地球へ飛来する隕石をやっつけるのに必要で・・・、などとブログに書いた後で隕石が地球にぶつかる頻度を調べたら隕石を持ち出して原子炉の必要性を訴えるのは無理があることに気がついた。それはそうと実際に隕石が地球にぶつかったら、どれくらいのエネルギーになるのかしら、いろんなケースがあるはずだけど、気になるんで調べてみたけど良い資料が見つからない。それでは勉強になるでしょうから自力で計算してみましょう。
まず、どのくらいの相対速度になり得るのか計算しようと思う。とりあえず地球が太陽の周りを公転する速さや位置エネルギーを調べてみようと思った。
それで、公転の速さは半径と周期が分かれば計算できる。本当は楕円運動だけど大雑把にわかればいいから円として考えてしまう。
地球から太陽までの距離(R):1.5×10
11[m]
公転周期(T):365×24×3600[s]
だから
地球が太陽を周る速さ:2πR/T=2×3.14×1.5×10
11/365×24×3600=2.987×10
4[m/s]
となる。
だから衝突するとしたら少なくとも地球の方は秒速30km程度の速度を持っていると分かるので、相手も同じくらいの速度であれば、0~60km/s 程度の相対速度になり得ると予想できる。
それで、地球の公転軌道よりももっと遠いところから落っこちてくるような場合は、太陽を基準にした位置エネルギーを調べれば、どれくらいのスピードになり得るか、もしかしたら勘違いかもしれないけど、計算できるような気がした。
そこで、今度は太陽の重力を計算したいと思った。それで、太陽の質量は記憶していないので、調べないといけないんだけど、せっかく半径と速度が分かっているのだからここから質量も求める事ができるはずだと考えた。
つまり、地球が太陽の周りをほぼ円運動しているのは、地球の円運動で発生するいわゆる遠心力の大きさと、太陽からの重力の大きさが釣り合っている状態だからで、遠心力の大きさが分かれば重力も分かるし、太陽の質量もわかるという理屈。
ところで、遠心力という力は存在しないので向心力というのが正しいらしい。だから遠心力と言わずに向心力とか別の言い方にしよう。
それで、半径と周期が分かっているのだから円の中心に向かう加速度の大きさは、どうやって計算するんだろう?
高校生くらいのときのテキストに公式が載っていたと思うんだけど、覚えていない。困った。Google先生に聞いてみればすぐに教えてもらえると思うのだけど、それだとなんかカンニングしているみたいで嫌だから自分で考えてみよう。
まず、本来ならば等速直線運動するはずの質点が、円運動を行うということは、速度に対して垂直の力が加わっているためと授業で教わったのを思い出す。それから糸につけた物体をぐるぐる回して円運動をさせてから糸を放したり糸が切れたりしたばあいの物体の運動は、それまで描いていた円の接線方向に直進するという説明を思い出す。
それからその本来なら等速直線運動するはずの物体が円軌道を描くために円周にあわせて向きを変えるのは、ちょうど重力に引かれて落下するのと同じだけ移動しているそうなので、どうゆうことかを考えると、円周にそって移動した場合と等速直線運動した場合との速度ベクトルの差を調べればよいに違いない。
速度は角速度×半径なので、rω となる。ωは 2π/T。円周上の接線を考えて、その接点(これをPとしよう)をスタート位置として、時刻 t 秒後の位置は、直進する方は円の接線上を rωt の距離を進んだ位置に(これをAとしよう)、円運動の方は円周上の距離 rωt の位置に(これをBとしよう)来る。A点とB点の距離が重力によって進行方向が曲げられた結果の一種の落下距離と考える事ができるはず。
円の中心をOとしたらPOAとPOBの二つの三角形ができる。ここで t が十分小さければこの落下距離とみなせるAB間の距離は r{1-cos(ωt)} で近似できるはず。
それで、これに実際の数値を入れて 1 秒後の計算をしてみる。
(%i8) (1.5*10^11)*(1-cos(1*(2*3.14)/(365*24*3600)));
(%o8) 0.0029809488211185
等速直線運動した場合と等速円運動した場合の距離の差は 0.00298 [m] つまり 2.98×10
-3 で 2.98 [mm] ということらしい。
これで移動距離と言うか一種の落下距離が分かったことになるので、これを元に加速度を出してみる。
時間(t)に比例する等加速度運動する場合の速度(v)とt秒間での移動距離(d)の関係は d=1/2 vt (vは時刻tでの速度)となる。
すると、等加速度運動で距離 d を移動した場合の t 秒後の速度は
v=2d/t
t=1なら
v=2×2.98×10
-3/1
= 5.96×10
-3[m/s]
つまり加速度は
g= 5.96×10
-3 [m/s
2]
となる。
ではこの加速度を重力加速度とみなした場合、半径 R での中心の質量はいくらか計算しよう。
G=6.67×10
-11で、
g=GM/R
2
なのだから、Mを計算するには
M= (g・R
2) / G
(%i13) R:1.5*10^11;
(%o13) 1.5E+11
(%i14) T:3.65*10^2*24*3600;
(%o14) 3.1536E+7
(%i15) d:(1.5*10^11)*(1-cos(1*(2*3.14)/(365*24*3600)));
(%o15) 0.0029809488211185
(%i16) G:6.77*10^-11;
(%o16) 6.7699999999999996E-11
(%i18) 2*d*R^2/G;
(%o18) 1.9814283153668323E+30
となって、太陽の質量は 1.98×10
30 [kg] と計算できた。正解を理科年表で調べると、1.9891×10
30 [kg] でした。だいぶ近い値が出たので満足です。
さて、あくまでもこれは近似でした。本来ならばもっとスマートな遠心力の公式のようなものがあったはずです。それはどういったものでしょう。
とりあえず、半径が大きくなれば遠心力というか向心力は大きくなるね。
回転速度が速くなればそれだけ向心力も大きくなるね。
ということで、回転速度は角速度 ω で表すのが便利。距離は r で、そうして時刻 t 秒後の加速度を計算して、この t をどんどん小さくしていけば、微分とか積分とかすれば答えが得られるような気がする。
しかし、tを限りなく小さくしていけば1-cos(ωt)は0になるだけで計算ができない。困った。とても困った。自分はなんて頭が悪いんだ。などと口惜しがって、しかたがないので近似の計算で ω や r を一定にした場合の変化具合を調べてみた。
ωを一定にしたときにrを変化させた場合の加速度。
r(1-cos(ωt)) なのだから、単純に比例すると分かる。
r=1, t=10
-4として、ωを変化させた場合の加速度 g を求めると。
ω g
1 0.9999・・・
2 3.9999・・・
3 8.9999・・・
4 15.999・・・
5 24.999・・・
×10
-8
g は ω
2 に比例しているように見える。
だから
「円運動における向心力(遠心力)の大きさは半径に比例して角速度の2乗に比例する」
ということらしい。
これを式で表すと g=rω
2. となる。
周期Tを使うなら g=r(2π/T)
2.
さて、これが本当かどうかを実際の数値を入れて確かめてみよう。