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2009年9月9日水曜日

新型潜水艦そうりゅうのAIP性能を考える、とか言って中身は計算練習。

やっぱり計算を間違えているっぽいから計算方法を調べな直した方がいいみたい。

目次

  1. 力学的な話
  2. 化学的な話
    1. 必要な燃料と酸素と生じる排気ガスの量
  3. 深々度での排気に要する損失
    1. AIP機関に期待できる速力の限界
  4. 付録
    1. 人間が消費する酸素の量
    2. エンジン類の重さとかをてきと~に
    3. 酸素欠乏症とか
    4. 速度が2倍でも馬力は4倍とは限らない
  5. おわりに

力学的な話

水中での最大出力は8000馬力となっているけど、積んでいるAIP機関はそうりゅう型潜水艦:Wikipediaによると75kW=102馬力となっているから4機合わせて408馬力。8000馬力は電動モーターの出力なのだろう。

水中だから造波抵抗は無し、Wikipediaによれば粘性圧力抵抗は流線型で極小となり、粘性摩擦抵抗は流速に比例するらしい。極小となるなら圧力抵抗の方は無視しよう。他にも渦を起こす事で生じる抵抗とかもあるらしいが、摩擦抵抗だけ考えて他は無視してしまおう。

本当に無視してよいのかは甚だ疑問だけど、先に進みたい。

運動している物体は邪魔するものが何も無ければ永遠に同じ速度で運動し続ける。 ところが、空気中や水中で運動する物体は、空気や水との摩擦抵抗によって運動エネルギーを奪われ、運動エネルギーが減衰してしまう。すると速度は遅くなり、最終的には静止状態となる。

空中や水中で一定の速度を維持するというのは、摩擦によって失った運動エネルギーを補い続ける作業と言い換えることができるでしょう。

摩擦抵抗によって奪われる運動エネルギーの大きさはどれくらいだろう。8000 馬力で毎時20ノットの速さが出せるそうなので、8000馬力というのはだいたい5880[kW]なのだけど、これはつまり毎秒5880[kJ]の熱エネルギーを海に奪われ続けることによって毎時20ノットの速さを維持していることになる。

この時、推力は最大で、最大の推力と抵抗の力がつりあったところが最大速度となる。

抵抗と言うのは力なので、エネルギーではないし仕事率でもない。どうやって計算したら良いのかと頭を悩ましながら検索したら参考になりそうなのを見つけた。

「新しい船底塗料(LF-SeaR)の実船における摩擦抵抗低減効果の検証」 http://www.nipponpaint.co.jp/r&d/tc22/k3.pdf

あら、E=F*L、普通に 力 × 距離 [N・m] でよかったのね。

つまり、

エネルギー[J]=力[N]×距離[m]

で表現される。

すると Wikipedia の記述どおりに粘性摩擦抵抗が速度に比例するのであれば、20ノット(10.28m/s)で5880kWなら1秒で約10.3m進み、5880kJ消費することになる。

5880*10^3=F/10.3 F=571*10^3 [N]

抵抗力は約571kNと計算できる。同じように10ノット(約5.14m/s)では1秒で約5.14m進み、今出した571kNの半分の約286kNが抵抗力、すると消費されるエネルギーは E=F*L だから E=286kN * 5.14m = 1470 kJ となり要求されるエンジンの出力は1470kWとなる。馬力に直すとちょうど2000馬力。

おやおや、これは2乗で効いているようだ。1/4の5ノットで計算してみようか。 143kN*2.57m=367.5 kJ だいたい500馬力ってところか。やはり2乗で効いているようだね。

ところで、このAIP機関の発電機としての性能は 60 [kW] という情報があるので、使用可能な出力は 60 * 4 = 240 [kW] で計算した方が良さそうです。

そこで AIP機関4機の合計出力 240 [kW] で計算してみます。

単純な2次関数で扱って良いなら W=14.7 * v^2 , v=sqrt(W/14.7) だから W=240 だと 4.04、約 4.0 ノット。

以前は抵抗力の計算を怠けたので1ノット前後とか、とんでもない値が出てしまいましたが、今回はまともな値が出ました。

化学的な話

熱機関としてのAIP機関、75×4=300kW フル稼働させた時に1時間あたり発生できるエネルギーは、300000*3600=1080000000[J] =1080[MJ]となる。

それで灯油を燃やすからには酸素が必要で、2週間潜りっぱなしなら相当な酸素を持参しておく必要があるでしょう。なにか参考になる資料は無いかと探したんだけど見つからない。となると自分で計算するしかないので・・・。勉強勉強。

まず、灯油1リットルあたりの燃焼で生じるエネルギーについて調べる。

ところで発熱量について調べていたら高位発熱量と低位発熱量と言うものが出てくる。

単純に発生する総発熱量から熱機関の効率を考えれば良いのかと思っていたが、下記によると熱機関の効率には低位発熱量を使う必要があるらしい。

高位発熱量と低位発熱量(日本冷凍空調学会のホームページより)

都合の良いことに、このページには灯油の低位発熱量が載っていて 43.5 [MJ/kg] となっている。

しかし、Kerosene - Wikipedia. によれば lower heating value は 43.1 [MJ/kg] となっている。

ところで理科年表を見ると灯油の高位発熱量には44~47 [-ΔcΗ/kJ・g-1] と書いてある。ということだから灯油といっても品質等によって発熱量に開きがあるようだ。単位を[MJ/kg]に直すと 1[g]×103=1kg/1[kJ]×103=1[MJ] なのでそのまま[MJ]と読み替えてOKだった。

それから Wikipedia には higher heating value is 46.2 [MJ/kg] となっていて、平均的な値を採っているのだと思う。

また、燃焼熱について調べていると、やたらと燃焼エンタルピーという不思議な用語が目に付く。これの説明は下記に見つけた。

EMANの物理学・熱力学・エンタルピー

さて、今回の計算を行う上での灯油の燃焼エネルギーを決める必要がある。また必要な酸素の量や排気ガスの容積も知りたい。

http://en.wikipedia.org/wiki/Kerosene によると

C12H26() + 37/2 O2(g) → 12 CO2(g) + 13 H2O(g); ∆H˚ = -7513 kJ

C12H26 の分子量は 12*12 + 1 * 26 = 170 になる。

37/2=18.5 で灯油 1 [mol] あたり 18.5 [mol] の酸素(O2)が必要。

したがって、気化した灯油22.4リットルは170[g]となり、液体の灯油の比重が約0.8なので、1 [mol] の液体の灯油の体積は 170/0.8=212.5[ml] なので、22.4/0.2125=105.4 となり気体の灯油は液体の灯油に対して約100倍の体積に膨らむ。予想では800倍くらいと思っていたから大外れ。

18.5[mol] の酸素(O2)は 18.5*22.4=414.4 リットル。 液体の灯油1リットルは800g程度で灯油 1 [mol] は170[g]だから 800/170=4.7 [mol] となり、必要な酸素量も 4.7 * 414.4 = 1950 リットルとなる。

これで計算すると灯油 1 リットルで発生するエネルギーは 4.7[mol]×7513 kJ = 35.25 [MJ] になるのだが、これは高位発熱量だろう。さっき調べた 46.2 [MJ/kg] * 0.8 = 36.96 [MJ/] と完全には一致しない。この計算だと高位発熱量は 44 [MJ/kg] となりそうだ。

高位発熱量 46.2 [MJ/kg] に対して低位発熱量は 43.1 [MJ/kg] で 0.93 程度の比率になるから、44 [MJ/kg] にも 0.93倍した約 41[MJ/kg] 、32.7 [MJ/] となるだろう。

石油系燃料の発熱量によれば石油系燃料の発熱量はガソリン、灯油、軽油の区別なく、約 44 [MJ/kg] と解説されていることもあり、排気ガスの容積を求める必要から 44 [MJ/kg] に合わせてしまって良いと思う。

実際は灯油に含まれる分子の全てが C12H26 とは限らないとしても、密度が高くなれば 1 [mol] の燃焼に必要な酸素が多く必要になるものの、エネルギー密度が高い分、単位時間当たりに消費する燃料は少なく済むし、それにともない酸素の消費量も結局は同じになるに違いない。せいぜい燃料タンクの容積が数パーセント増えたり減ったりする程度の違いだから燃料 1リットルあたりの発熱量の微々たる差は無視しても構わない。

スターリングエンジンの熱効率が分からないので調べてみると良い資料を見つけた。

http://www.iae.or.jp/publish/kihou/29-1/07.html

これによるとスターリングエンジンの実用的な出力範囲は 100 [kW] 辺りが上限になるらしい。だから4台になったんだね。

75 [kW] くらいのエンジンの熱効率を参考にすると、だいたい35%くらいになるようだけど、海中動力用スターリングエンジンについて「スウェーデンのコッカムス社で開発された75kWスターリングエンジンは,40%以上の熱効率に達し」と書かれている。この40%という値を採用すると取り出せるエネルギーは灯油 1リットルあたり 32.7 * 0.4 = 約 13 [MJ] となる。

1時間で消費する灯油の量は 1080/13 = 83 リットルとなるらしい。一日あたり 83*24 = 1992 リットル、2週間(14日)分だと 27888 リットルになる。

1時間当たり 83 リットルの灯油を燃やすのに必要な酸素の量は 83*1950=161850 リットル、約162 [m3]程度。一日だと 83*24*1950 = 3884400 リットル、約 3884 立方メートル。14日分だと約 54382 立方メートルとなる。

更に、排気ガスの容積を知る必要があるので、上記の化学式によれば、 灯油 1 [mol] + 酸素 18.5 [mol] が燃焼すると、 12 [mol] の 二酸化炭素(CO2) + 13 [mol] の水蒸気(H2O)つまり、

二酸化炭素: 12*22.4=268.8[]
水蒸気:   13*22.4=291.2[] が生じるらしい。

灯油 1 リットルは 4.7 [mol] だったので、灯油 1 リットルあたりだと、

二酸化炭素: 4.7*12*22.4=1263.36 [] 約1263リットル
水蒸気:   4.7*13*22.4=1368.64[] 約1369リットル

が生じると予想できる。

なので、一時間あたりに発生する排気ガスの容量は、 消費する灯油の量を 83 リットルとして

二酸化炭素: 83*1263=104829[]、約105立方メートル
水蒸気:   83*1369=113627[]、約114立方メートル

となるらしい。

これでAIPで使う2週間分の酸素と灯油の量の見当がついたことになるのかな。

必要な燃料と酸素と生じる排気ガスの量
2週間分の燃料の灯油: 約27888リットル(液体)
2週間分の気体の酸素: 約54382立方メートル(気体)

更に、一時間あたりに発生する排気ガスの容量は

二酸化炭素: 約105立方メートル
水蒸気:   約114立方メートル

となるようだ。

酸素タンクの容量は200気圧ならば272立方メートル程度に収まる計算。容積が馬鹿にならない。

実際には液体酸素の形で保存しているらしく、酸素 1 [mol] は 32 [g]、液体酸素の比重は 1.14 だから、1リットルの液体酸素の重さは 1.14 [kg] で、32 [g] で割ると 35.6 [mol] になって、798リットル。気化したらだいたい800リットルになる。

計算方法を調べていて分かったけど、空気1立方メートルって1kgくらいの重さがあったんだね。もっと全然軽いと思っていた。

それで、気体の酸素と液体の酸素の体積比は800:1で、54382 立方メートルの気体の酸素なら、約 68 立方メートルの液体酸素として収まる計算。

この型は全幅が 9.1 [m] で、AIP機関搭載テストをした「あさしお」は全長が 9 [m] 延長されているので、AIP機関の搭載区画はだいたい 9 [m] × 9 [m] 程度の大きさだと思うので、直径 1.6 [m]、長さ 8.5 [m] 程度のタンクを4つ用意すればちょうど良い感じに 68 [m3] になる。

2週間程度の連続潜航が可能と言っても、24時間14日間ずっとエンジンを動かし続けているわけではないだろうから搭載する酸素の量はもっと少なくても良さそうである。

深々度での排気に要する損失

さて、コメントでも指摘されていた通り、エンジンの効率を考える場合、排気ガスを海中に排気するためのエネルギーは無視できません。この加圧用のエネルギー損失を考えて見ます。

しかし計算方法が間違っていたようなので、また計算方法を調べないといけない。

ちなみに、二酸化炭素は水に溶けるので水蒸気と一緒に復水器に送れば、液化した水に二酸化炭素は溶けてしまうので体積が少し減ります。更に、二酸化炭素を圧縮すると同時に冷却すれば更に体積が減り圧縮作業の効率が良くなります。排気ガスを積極的に冷却するという行程を含んでいれば、圧縮に要するエネルギーの損失は上記の計算結果よりも小さくなるでしょう。だけど冷却水を循環させるポンプの動作にもエネルギーを消費するので、実際どうなるかはわかりません。

AIP機関に期待できる速力の限界

圧縮に要するエネルギーの計算が分からなくなってしまったので、考え中です。 水圧が2.2[MPa]を超える場合どうなるか分からないので載せるのをやめました。

       推定速力[ノット] 
水深[m]  40% 60% 80%(排気ガス圧縮の効率)
--------------------------------------------
200未満  4.0 4.0 4.0

あまり出力が低いと効率が悪いかもしれません。多かれ少なかれバッテリーを消耗しながら 4~5ノット前後を実現しているでしょう。

目的地まで10ノット前後で効率よく移動して、目的の地点で海中に留まりながら AIP機関を使って再度充電するという運用方法もあるでしょう。ようするに運用の自由度が上がったのでしょう。

そうりゅうの最大運用深度がどの程度か知りませんが、600 [m] より深いという事は無いでしょうからこれくらいの性能があれば良いのではないかと思います。

とりあえず、仮に4ノットで2週間ほど移動を続けたら 14日×4ノット毎時 = 1344海里、約 2500 [km] となるので、日本列島よりは短いけど、それなりの脅威と考えて良いのではないかな。

それにしても計算間違いが多い。自信をなくす。

付録

人間が消費する酸素の量

それから人間が乗っているのだから人間が消費する酸素の量も気になる。

http://sqa.scienceportal.jp/qa5227797.html によれば人間一人あたり安静時でも360リットルの酸素を消費するらしい。計算し易くするために一人一日448リットル20[mol]として計算してみよう。

65人の乗組員が一日一人あたり20[mol]消費すると65*20=1300[mol]、1300*22.4*1/1000=29.12立方メートル、約30立方メートルの酸素が必要。2週間なら 14*30=420 立方メートル。200気圧で圧縮すると2.1立方メートル分の酸素タンクが必要。

エンジン類の重さとかをてきと~に

エンジンは最も重い部類の機械と思われるので搭載されている3900馬力のディーゼルエンジンの重量や寸法が気になった。

たまたま見つけたダイハツディーゼルのカタログで似たような出力のエンジンを探すと 8DK-20という製品があった。1800馬力程度で乾燥重量22トン、2機で44トン。主要な寸法は1*3*3=9立方メートル以上あるから2機で約20~30立方メートル程度の空間を埋める事になる。 http://www.dhtd.co.jp/ja/products/catalog.html

酸素欠乏症とか

空気中の酸素濃度が18%で酸素欠乏症の危険が生じるという記述をどこかで見つけたのだけど、どこだっただろう?だいたい空気中の酸素14%を失うと危険になるらしい。

速度が2倍でも馬力は4倍とは限らない

ところで、コメントの例に出ていた運動エネルギーの計算は、E=1/2 mv^2 という公式を用いて、速度が1/2ならばエネルギーは1/4だし、速度が1/4なら運動エネルギーは1/16。で済むという話については、馬力と運動エネルギーをごっちゃにしていて良くない。

これは質量mの物体が 速度vで運動しているときの運動エネルギーの大きさを表現する式で、例えば1kgの物体に1Jの運動エネルギーを与えるならば、

(1 * v^2)/2 = 1, v^2 / 2 = 1 , v=sqrt(2)

だいたい 1.41 [m/s] の速度になるということを意味している。

もし空気も水も地面も重力も、抵抗となる要因がなにも無ければそのまま永遠 に1.41[m/s]の速さで運動し続ける。

この式は、ある一定の速度に到達するために必要なエネルギーを計算するのには使えるけど、水や空気などの抵抗のある環境で一定の速度を維持する場合とは別で、今回は抵抗が速度に単純に比例するモデルだったので、公式と同じように単純に2乗で効いたから結果は正しかったけど、試しに抵抗が速度に比例しない造波抵抗を考えに加えて計算すると成り立たなくなる。

なんとなく思いつきで「こんごう型」の護衛艦を使ってみよう。

こんごう型は100000馬力(73.6MW)で、時速30ノットの速さが出せるらしい。

30ノットでは1秒間に15.4m進み、73.6MJ消費。抵抗力はF=73.6M/15.4=4.8MN。

高速船では全抵抗の50%は造波抵抗とhttp://www.kagaku.info/faq/wave000711/index.htmに書いてあるので、半分の2.4MNが造波抵抗の分と仮定。残りは粘性摩擦・圧力抵抗。

速度を半分にした15ノットでは、1秒間に7.7m進み造波抵抗は速度の2乗で効いてくるから速度が半分だと1/4の0.6MNとなり、他の抵抗は速度に比例するから1.2MNで合計0.6+1.2=1.8MN。

これで計算するとE=1.8M*7.7=13.9MJ。つまり約14MWの出力だから30ノットのときの73.6MJの20%程度となる。

15ノットから30ノットへ速度を2倍にするためには出力を5倍にする必要がある計算で、4倍では足りない。

これで、単純に速度が2倍なら馬力は4倍とはならないという説明は終り。

おわりに

いろいろ調べて色々と計算して大変だった。途中の計算でキロ(k)の1000倍するのを忘れて悲惨なことになっていたし、つくづく自分の頭の悪さに泣きたくなってしまう。他にも間違っているところが無いかとても心配だ。

それはそうと、いくつかコメントをもらったことで再計算のきっかけになりました。たぶん最初の頃に比べたらずいぶん良くなっていると思います。自分にとっても勉強になりました。コメントいただいた方々に感謝申し上げます。

おわり。

14 件のコメント:

ぼ部 さんのコメント...

盛大にコーヒー噴いた
誰か詳しい奴教えてやれよ、て感じだな。
向学の姿勢はまことに結構、だが基礎がなさすぎてちょっとアレな方向に迷走しているというのが一見した印象。

shin314 さんのコメント...

せっかくコメントが付いたと思って楽しみに見てみたら、中身のないコメントにガッカリ。そう思うならあなたが教えてくれたらいいんじゃない?

匿名 さんのコメント...

>shin314さん

それは2ちゃんねる軍板某スレで、貴方の記事を見た住人達の反応を(どっかの誰かが勝手に)転載されたものであり、貴方へのコメントではなく純粋に貴方の記事を読んだ時に感じた情緒反応、即ち感想ですので、中身がないのは致し方がありません(これはそのスレッドに書き込んだ人への責めではありませんし、またこの書き込みが悪意のあるものであると言うわけでもありません。ただ、転載した人には何らかの悪意があるのではないかと疑っておりますが。)


私は文系大學在学中の身で工学や物理問題に関しては人並みの知識しかございません。
ですが、高校時代に習った僅かばかりの物理学の知識はございます。

運動E=1/2×質量×速度^2

と言うごく初歩的なニュートン力学の公式です。
ここから導き出されるのは
速度を二倍にするには運動エネルギー(即ちここで言う馬力は)は2の2乗で4倍必要であり、逆に言えば速度を半分にするのなら、それに必要な馬力はその四分の一(二分の一×二分の一)、速度を四分の一に(20ノットを5ノットに)するのならば、馬力は十六分の一(8000馬力を500馬力程度に)あれば十分であり、

>8000 馬力で20ノット出せるとすると、この時の粘性摩擦抵抗が最大でつりあった状態。速さと比例関係だから10ノットなら4000馬力程度だろうね。AIP機 関4機の合計出力が408馬力なのだから1/20程度の出力しか出せない。すると単純計算で1ノットになってしまう。舵が効かないかもしれない

にあるようなとんでもない計算にはならないということなのです。
(下の酸素云々は自分の手に余るのでパスさせていただきます)

shin314 さんのコメント...

あら本当だ。なんで気が付かなかったのかしら、恥ずかしい。どうりでトンデモな値が出た訳だ。計算をやり直さないといけないね。

shin314 さんのコメント...

運動エネルギーと馬力は別物で、馬力は仕事率なんだけど、それは修正を加えた本文を読んで下さいませ。

それはそうと、匿名さん、あなたのコメントのおかげでどれだけ私が救われたことか、遅れましたが、お礼申し上げます。

zaku-chan さんのコメント...

今更ですが、コメントしていいですか?

shin314 さんのコメント...

計算間違えたでしょうか?

zaku-chan さんのコメント...

いえいえ、ちょっとわけがあって『AIP潜水艦』で検索してみたら、面白そうな書き込みがあったので少し薀蓄をたれてみようかと思い、立ち寄っただけです。気に障ったら読み飛ばしてください。
まずは、全体を通じて想像力豊かな仮定と学生時代に眺めたことのありそうな理論展開に懐かしささえ感じております。
一番驚いたのは、『14日間』。偶然とは言え、この4文字は・・・。
ちなみに、超概略なシステム規模の計算としては当たらずとも遠からじ(個々の内容は別にしてですが)とも思えたりして。
ただ、『スターリングエンジンは動力の代替機関ではない』ということから考えるに少し違うのかもと思ったりもしてしまいます。
スターリング機関はケロシン(サルファーレスの灯油みたいなもの)を燃やして動力(回転力)を発生することが出来るのですが、これはそのまま(直結された)発電機を廻して発電するためのものなんですよ。(発電機への伝達、発電効率による損失等がありますね)
つまり、水中で発電し、その電力で推進用の電動機(8000馬力?)を微速で廻しながら、深く静かに潜航する。(電池はバッファみたいなものですね)
そんな感じです。
ちなみに、『スターリングエンジンの出力は100kW辺りが上限になるらしい・・・だから75kWが4台』ってのは大きな間違い。
某国の小型(日本のそれに比べるとですが)潜水艦で使っていた実績のあるものをそのまま流用したのでその容量になっただけで、一から開発していればそんなことにはならなかったでしょう。
とは言うものの、作れないから買ってきたわけで・・・

shin314 さんのコメント...

コメントどうもありがとうございます。

> いえいえ、ちょっとわけがあって『AIP潜水艦』で検索してみたら、面白そう
> な書き込みがあったので少し薀蓄をたれてみようかと思い、立ち寄っただけで
> す。気に障ったら読み飛ばしてください。

どうもです。

> まずは、全体を通じて想像力豊かな仮定と学生時代に眺めたことのありそうな理
> 論展開に懐かしささえ感じております。
> 一番驚いたのは、『14日間』。偶然とは言え、この4文字は・・・。

どうもどうも。いつまでも学生気分が抜けません。
ところで『14日間』とはなんでしょうか???

> ちなみに、超概略なシステム規模の計算としては当たらずとも遠からじ(個々の
> 内容は別にしてですが)とも思えたりして。
> ただ、『スターリングエンジンは動力の代替機関ではない』ということから考え
> るに少し違うのかもと思ったりもしてしまいます。
> スターリング機関はケロシン(サルファーレスの灯油みたいなもの)を燃やして
> 動力(回転力)を発生することが出来るのですが、これはそのまま(直結され
> た)発電機を廻して発電するためのものなんですよ。(発電機への伝達、発電効
> 率による損失等がありますね)

そうですね。そうりゅうに搭載されているスターリング機関が発電機ということは認識しているのですが、発電効率と電動機の効率がわからないので計算を省略してあります。
というよりもさぼっています。
とりあえず性能の上限がこの程度になるだろうという認識です。

ちなみに、改めて調べると下記のようなページを見つけました。発電出力は60kWのようです。そうするとエンジンの出力が75kWなのだから発電効率は80%の高効率になるようですね。信じられ
ないですけど。それから酸素は液化した状態で搭載するようです。

「そうりゅう」のスターリング機関発電装置

ということで本家のサイトを見た方が良いと思い川崎重工やコックムス社のウェブサイトを探しにいきましたが、
性能についての具体的な数字はわかりませんでした。


コックムス社スターリングAIPシステム


発電出力が60kWということなら、計算結果から2~3割程度は低く見直す必要がありそうです。電動機の効率がわかるといいのですが。

> つまり、水中で発電し、その電力で推進用の電動機(8000馬力?)を微速で
> 廻しながら、深く静かに潜航する。(電池はバッファみたいなものですね)
> そんな感じです。

上記のとおり、本文で出した計算結果よりも発電出力が低いようなので推力に使った場合の出力も低く考える必要がありますから、AIP機関の出力だけで4~5ノットの推力をまかなうのは無理があるように思います。
バッテリーはバッファというよりもむしろ主電源でAIP機関は艦内への電力供給とバッテリーの消耗を軽減するためのものと考えた方がよいのではないでしょうか。

自分としては2週間の連続潜航を可能にしているのは大容量バッテリーに依存するところが大きいと予想しています。AIP機関と上手に組合わせれば本文の計算で出した程の燃料と酸素を搭載する必要はないはずなので、実はバッテリーだけで1週間程度は活動できる性能があるのかもしれません。わかりませんが。

> ちなみに、『スターリングエンジンの出力は100kW辺りが上限になるらしい・・
> ・だから75kWが4台』ってのは大きな間違い。
> 某国の小型(日本のそれに比べるとですが)潜水艦で使っていた実績のあるもの
> をそのまま流用したのでその容量になっただけで、一から開発していればそんな
> ことにはならなかったでしょう。
> とは言うものの、作れないから買ってきたわけで・・・

これについては疑問を感じています。確かに100kWを超える出力のスターリングエンジンを製造することは可能でしょうが、その場合、効率的にディーゼルエンジンに対する優位性がなくなるので100kW以上のスターリングエンジンは積極的に開発されないということだと思います。

本文中のリンク先にも紹介していますがスターリングエンジンは100kW 辺りまでが他のエンジンに対して優位になるようです。


スターリングエンジンの研究・開発動向


なんでこの人のページばかり引用するかといいますと、この人のページは自分がまだ学生の頃の10年くらい前から見に行っていて、この人のページがけっこう好きなんです。

これによると、

> 比較的低い出力レベルにおいて高い熱効率が得られやすいという特徴がある。
> これはエンジンを大出力化する場合,圧力容器構造の制限によってエンジン
> の構造部材の肉厚が増大し,それに伴う熱損失が増大するためである。

また、

> 現在のスターリングエンジンが自動車・舶用エンジンに対抗するのは
> 極めて困難であり,さらなるブレークスルー技術が必要不可欠である。

それから、

> スターリングエンジンの高熱効率性や低騒音といった特徴を活かした,
> 海中動力用スターリングエンジンの研究・開発などが進められている。
> スウェーデンのコッカムス社で開発された75kWスターリングエンジンは,
> 40%以上の熱効率に達し,数機の軍事用潜水艦に搭載されている。

ということで川崎重工がライセンス生産することになったみたいです。

また、同じ人の研究ですが、

20,000kW級船舶用スターリングエンジンの検討
というものがあります。
計算の妥当性は明らかでないとなっていますが、この結果から考えると大型のスターリングエンジンが実現することは当分ないと思っています。

そうゆうわけなので、これ以上の出力のAIP機関を実現しようとしたら昔のニュースで見かけた「アールワン・ロボット」のようなクローズドサイクルディーゼルエンジン方式の方が騒音などをクリアできれば現実的なのではないかなぁと空想しはじめたところです。

zaku-chan さんのコメント...

こんばんは
またまたちょっかい出しに来ました。

軸出力75kW⇒発電出力60kW。高効率ですか?民生用ではないのでこのぐらいが妥当な線でしょう。
酸素は液体で保持してます。
スターリングエンジンを液体酸素タンクの配置は、『コックムス社スターリングAIPシステム』からリンクされている、KockumsのHPの中のSödermanland Class SubmarineのTechnical data(艦内配置図)から容易に想像できると思います。
Södermanlandは1500トンクラスの潜水艦なので、スターリングエンジン2基を艦中央部(セイルの後部)の上部に配置し、その下部に前後方向に向けて液体酸素タンクを搭載していますね。
海自の場合、その2倍。4台のスターリングエンジンと液体酸素タンク。まあ、レイアウトも自ずと決まってくるし、幾何学寸法も区画寸法(圧壊強度から決まる)に制約される。



ちなみに、発電効率を云々するのなら、忘れてはいけないのが排気ガスの処理にかかる電力。これはそのまま損失になりますから。

なぜスターリングエンジン?それは高圧燃焼が可能だからです。『そうりゅうのスターリング機関発電装置』にあるとおり、燃焼圧力は2.2MPa・・・これはスウェーデン海軍潜水艦の潜航深度ではそのまま排出出来る圧力ですが、日本ではそうはいきません。
つまり、昇圧して排気する・・・とすると?昇圧の為の圧縮機が必要になってくるんですね。
その他にも清水・海水ポンプやら熱交換器、補機類の損失ってばかになりませんよ。
60kW⇒⇒⇒ますます少なくなっていきますね。

ちなみに、システム一式(艦の改造費とかも含めて)○○億~○○○億もするものを、『艦内への電力供給』に使う?
そんなバカな・・・艦内で消費する酸素でさえ、液体酸素タンクとは別に持っているわけで、艦内電力として消費される分は計算上主バッテリーに計上されます。(って言い切っちゃいけないかな)

『実はバッテリーだけで1週間程度は活動できる』

この仮定が正しいとすれば、AIP区画に高価でうるさくて振動の大きい(防音防振が大変です)スターリングエンジンと水中衝撃波で配管が破断すれば漏れ出た液体酸素で冷やされた耐圧殻が損傷する(常温鋼ですからパカっと割れます)なんて積まずに、その空間に目いっぱい電池を詰め込めば、数ヶ月潜っていられる潜水艦が出来上がるわけです。
次々期艦で予定されてるリチウム電池だったらなおさらですね。そんなバカな・・・

ちなみに川崎重工のHP見ても何の参考にもなりません。
買い物のスターリングエンジンのことは書けないし、ましてや潜水艦のことに関しては絶対秘。
な~んもわかりません。

shin314 さんのコメント...

コメントが遅くなってしまいました。

> こんばんは
> またまたちょっかい出しに来ました。

またまたどうもです。

> 軸出力75kW⇒発電出力60kW。高効率ですか?民生用ではないのでこのぐらいが妥
> 当な線でしょう。

そうゆうものでしたか。

> 酸素は液体で保持してます。
> スターリングエンジンを液体酸素タンクの配置は、『コックムス社スターリング
> AIPシステム』からリンクされている、KockumsのHPの中のSodermanland Class
> SubmarineのTechnical data(艦内配置図)から容易に想像できると思います。
> Sodermanlandは1500トンクラスの潜水艦なので、スターリングエンジン2基を艦
> 中央部(セイルの後部)の上部に配置し、その下部に前後方向に向けて液体酸素
> タンクを搭載していますね。
> 海自の場合、その2倍。4台のスターリングエンジンと液体酸素タンク。まあ、
> レイアウトも自ずと決まってくるし、幾何学寸法も区画寸法(圧壊強度から決ま
> る)に制約される。

まぁ、そうなんですが、自分の頭のなかではいまひとつ想像がつかないのです。

> ちなみに、発電効率を云々するのなら、忘れてはいけないのが排気ガスの処理に
> かかる電力。これはそのまま損失になりますから。

そうですね。排気にかかるエネルギーをだいぶ甘く見ていました。
単に外の水圧を押し返すだけの大雑把な計算をしたら深度にもよるのですが、
4台あるAIPの発電機の 1台分くらいの電力をまるまる消耗しそうな勢いでした。
(ホントかな?)
これは多めに出ているのでちゃんと計算すればもっと少なくなるずです。
でもどうやって計算すればよいのやら。

> なぜスターリングエンジン?それは高圧燃焼が可能だからです。『そうりゅうの
> スターリング機関発電装置』にあるとおり、燃焼圧力は2.2MPa・・・これはスウ
> ェーデン海軍潜水艦の潜航深度ではそのまま排出出来る圧力ですが、日本ではそ
> うはいきません。

なるほど、スターリングエンジンなら排気の圧力を高くできますね。
普通の内燃機関だと排気の圧力を高めようとしたら、その分効率が
悪くなるのですね。

> つまり、昇圧して排気する・・・とすると?昇圧の為の圧縮機が必要になってく
> るんですね。
> その他にも清水・海水ポンプやら熱交換器、補機類の損失ってばかになりません
> よ。
> 60kW⇒⇒⇒ますます少なくなっていきますね。

これだと始め 4ノット程度は出せると予想していたのが全然無理そうですね。
やっぱり計算しなおさないといけないですね。

> ちなみに、システム一式(艦の改造費とかも含めて)○○億~○○○億もするもの
> を、『艦内への電力供給』に使う?
> そんなバカな・・・艦内で消費する酸素でさえ、液体酸素タンクとは別に持って
> いるわけで、艦内電力として消費される分は計算上主バッテリーに計上されま
> す。(って言い切っちゃいけないかな)

あ~。費用について全く忘れていました。それほど高価なものでしたか。
それなら納得です。
といっても240kWありますから艦内での消費にまわしても大部分は余るはずなので、
「スターリングエンジンの総発電量+バッテリーの総容量」でひとつのバッテリー
とみなしてよいかと思います。

> 『実はバッテリーだけで1週間程度は活動できる』
>
> この仮定が正しいとすれば、AIP区画に高価でうるさくて振動の大きい(防音防
> 振が大変です)スターリングエンジンと水中衝撃波で配管が破断すれば漏れ出た
> 液体酸素で冷やされた耐圧殻が損傷する(常温鋼ですからパカっと割れます)な
> んて積まずに、その空間に目いっぱい電池を詰め込めば、数ヶ月潜っていられる
> 潜水艦が出来上がるわけです。
> 次々期艦で予定されてるリチウム電池だったらなおさらですね。そんなバカな・
> ・・

1週間は大げさでしたね。従来のバッテリーだけの潜水艦でも数日間程度、つまり
おそらく 3~4日程度の連続潜航が可能であればバッテリーの容量が全く拡張されて
いないということもなかろうと思ったので、、、

リチウムイオン電池は次々期でしたか・・・。全然知りませんでした。
そうりゅうクラスのAIP機関の採用は過渡的なものなのでしょうかね。

> ちなみに川崎重工のHP見ても何の参考にもなりません。
> 買い物のスターリングエンジンのことは書けないし、ましてや潜水艦のことに関
> しては絶対秘。
> な~んもわかりません。

そうですか、残念です。別の似たような製品から推測するしかなさそうですね。

匿名 さんのコメント...

ところで燃料は灯油ではなくて
軽油ではないですか
軽油なら熱量も変わるから

shin314 さんのコメント...

下記URLとWikipedia情報からスターリングエンジン用の燃料はケロシンつまり灯油とされているので灯油として計算しています。

http://karano.exblog.jp/8682986/

同じ石油系液体燃料ですから、発熱量は軽油も灯油もそんなに大きな違いはありませんが、軽油の方が重い分、単位容量あたり 4%くらい多いようです。

ですが、スターリングエンジンの出力が75kW、発電能力は60kWとされているので、燃料を変えるならそれに合わせて燃料タンクの大きさが数%だけ増えたり減ったりするだです。あまり大きな意味はありません。

ところで、発熱量について調べていたら発熱量には低位発熱量と高位発熱量があることを知りました。

私はきっと高位発熱量でこれまでの計算をしていたようです。

どうやら熱機関の効率に関する計算には低位発熱量を使う必要があったようです。

だからまた、計算をやり直す必要がありそうです。

shin314 さんのコメント...

とりあえず、おおざっぱに0.94倍すればよいのだと思います。

参考:高位発熱量と低位発熱量(日本冷凍空調学会のホームページより)